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名医

今日はセカンドオピニオンを受けに朝からT市に向かった。

既に結果は出ている。心疾患と。
わざわざ1時間以上かけていく意味があるのだろうかと思いつつ向かった。

決して大きくはない個人病院。待合室、、と呼べるのかどうか、
受付窓口の目の前に2人がやっと座れる席が一つ。

診察台に乗せて聴診器を2,3ヶ所当て、ふむ。と一言。

やっぱり、という結果でそれで終わりかと思いきや。

「○○さん(私)、『健康』ってどういうことだと思いますか?」

唐突な質問に戸惑ったが、
「病気をしていないということでしょうか」
なんのひねりもない答え。笑

「新しく犬を迎えようとする方(お客さん)はまぁそうでしょうね。
 ただ、そういう意味で言えば、皆さんの理想の「健康な子」というのはほとんど居ません」

先生は自分のメガネを指さして言った
「例えば、私はコレがないと車も運転できません。視力が弱い『欠陥』があるということです」

いわゆる、「健康」というのは、普段の生活や仕事などに影響を与えず、
普通に暮らせる状態のことを健康と言っているのであって、
病気や欠陥がひとつもないことではないのです。

たとえ病気や欠陥があったとしてもメガネなどの補助器具や薬、通院などで
普通の生活が送れるようにすればいいのです。それが、病院の本当の役目なのです。
決して「病気を治すだけのところ」ではないんですよ。

そりゃ簡単な病気は治しますよ?でも治らない病気だってたくさんあるのです。
ここ(病院)では、余命1ヵ月という子にあったりするのですよ。

手に汗が出てきた。この先生は、、、

飼い主さんはまったくそんな心の準備はされていません。
口の中に小指の先ほどのデキモノができただけという気でいます。
でも、余命1ヵ月という事実を伝えなければなりません。
そんな時に考えます。飼い主さんにも、伝えます。
生きるとは、健康とは、何か。

生死感。

病気が無いのは良いことだ。でも避けられないことの方が多い。
むしろ、誰もが必ず、いつかは「死」を受け入れなければならない、という事実。

20分くらいの話だったが、とても濃い内容、濃い時間だった。

診て頂いた子は確かに疾患はある。でも、日常生活に問題は無く、
幸い、このままであれば天寿を全うできるだろうという話だった。

つまり、いわゆる、「健康」である。ということだ。

こちらの先生はご自身の病院でももちろんのこと、大学でも教えているそうだが
こういうことを日々、伝えて行っているらしい。

名医というのはこういう先生のことだと思った。

by yykyotako | 2014-11-15 17:45 | 考察